◆幼年期◆
子どもの頃の夕焼けは
晩御飯のおかずにあった
紅生姜の天ぷらの色だった。
一日の終わりは幼児の目に鮮烈だった。
はやく家に帰らないと
「コトリが来る」と言われ
小型の頭の中では線画のヒヨコみたいな
晩御飯のおかずにあった
紅生姜の天ぷらの色だった。
一日の終わりは幼児の目に鮮烈だった。
はやく家に帰らないと
「コトリが来る」と言われ
小型の頭の中では線画のヒヨコみたいな
巨大な小鳥が白黒アニメで登場し
子どもをくわえて連れて行く妄想して震えた。
子どもをくわえて連れて行く妄想して震えた。
子どもなりの人間関係の悩み事がすでにあり
親に言わない秘密もすでにあった。
子どもには夜の暗闇は深く
テレビの「日曜洋画劇場」で怖い映画を観た夜ふけは
寝静まった家を覆う暗闇に怯えた。
けれど夢に落ちるといつも
あっという間に白く眩しい朝になっていた。
そうしてまた結局、鮮烈な夕焼けが巡って来るのだが
大人の腰くらいの高さの
子どもの頭は
見るもの聴くものに敏感に反応し
幼年期はまるでワラビもちの中を歩むかのような緩慢さで、
ゆっくりと過ぎて行くのであった。
親に言わない秘密もすでにあった。
子どもには夜の暗闇は深く
テレビの「日曜洋画劇場」で怖い映画を観た夜ふけは
寝静まった家を覆う暗闇に怯えた。
けれど夢に落ちるといつも
あっという間に白く眩しい朝になっていた。
そうしてまた結局、鮮烈な夕焼けが巡って来るのだが
大人の腰くらいの高さの
子どもの頭は
見るもの聴くものに敏感に反応し
幼年期はまるでワラビもちの中を歩むかのような緩慢さで、
ゆっくりと過ぎて行くのであった。
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